天文教室
観望会
美保関隕石
Sun‐in星の集い
新天体発見


2020年9月12日(土)

松江星の会
星ゼミ(来待ストーン)



久しぶりに勉強に特化した集まりでした。

1.電視観望超入門(安部)
電視観望に必要な機材やソフトを紹介しました。
ZWO ASI 224MC を利用した鏡筒の構成。架台は天体の自動導入ができるAZ-GTi経緯台を使いました。
224MCのチップ小さいことから焦点距離に応じた対象天体の見極めが必要です。
最近「電視観望」という言葉をちょくちょく聴くようになりました。
ただ、ちょっとわかりづらいかなあと思っています。確かに「電子観望」と書いてしまいますしね。
もう少し長く言うなら「デジタル天体望遠鏡による星空観察会」でしょうか。
次は天文教室で実践です。

2.惑星撮影と画像処理の実演(古都)
今夜は天気がわるいこともあり、これまで撮影された動画をもとにその画像処理を見せていただきました。
木星の撮影は撮影そのものは構図とピントがうまく行けば、あとはパソコンの世界。ディープ天体の撮影に較べれば、いつでもどこでも手軽にチャレンジできます。
シーイング(シンチレーション)次第といったところでしょうか。。
木星の撮影方法、撮影機材、画像処理...てんこ盛りの内容でしたが、まだまだ腹半分。続きが楽しみです。

3.木星観察超入門(安部)
縞模様が2〜4本、大赤班が見えている...から、もう一歩踏み出しましょう。
木星の表面に見えている模様を少し覚えると、木星をもっと楽しむことかできます。星仲間とも共通の言葉ができることで楽しみが深まります。望遠鏡を見ている時も、画像を見ている時も。
 → 木星観察超入門(下記)

4.天体写真のきれいな仕上げ方(安部)
ホームページに画像を投稿するという前提でレベル調整や画像の大きさを整理する方法を紹介しました。
いつもやっている当たり前のことですが、できるだけ簡単に標準化しておくと撮影もしたくなりますし、投稿もしたくなります。

今夜は池口・伊藤・中島・野波・長谷川・花岡・古都・安部が参加しました。


安部(八束)



木星観察超入門

1.木星がおもしろい
・見える模様に変化がある → 今しかない見ることができない模様
・観測機材は技術革新もおもしろい → そこそこいじれるし
・画像処理もいろんな手法がある → チャレンジ!
・光害地でも関係なし → これは月・惑星の大きなメリット
・毎年シーズンオフがある → これ大事!
・先輩諸氏がノウハウを公開している → これ、とっても大事!
・最後はシンチレーション次第 → 休む時は休む

もっと面白くするなら、
・模様の名前を少し覚える → 全然違うと思います
・天文ガイド「惑星の近況」 → 少しでもいいから読めるようにがんばる

近年の木星は最も低い位置に輝いています。
これから毎年少しずつ高くなっていきます。つまり、シンチレーションの影響が少なくなり、きれいな木星が見えるということ。
どうぞ、木星を眺めてみてください。


2.木星を天体望遠鏡で見た時の様子
○天体望遠鏡で見た場合
・上が「南」、下が「北」です。
 天頂プリズムを使うと方向が変わりますから注意してください。

○表面の模様
・暗い部分を「縞(Belt ベルト)」、
 明るい部分を「帯(Zone ゾーン)」といいます。
・代表的な模様
  まず濃い2つの横「縞」模様が見えます。
   上側の縞模様は「SEB South Equatorial Belt 南赤道縞」、
   下側の縞模様は「NEB North Equatorial Belt 北赤道縞」です。
・4本くらいの縞模様が見えたら、上側から次のようになります。
  ■濃い模様   STB(南温帯縞) 大きな永続白斑BAがある
  □白い模様   STrZ(南熱帯) GRS(大赤斑)がある
  ■特に濃い模様 SEB(南赤道縞) SEBs南組織とSEBn北組織に分かれている
  □白い模様   EZ(赤道帯)
  ■特に濃い模様 NEB(北赤道縞) 濃く目立つ縞模様で太さや色が変化する
  □白い模様   NTrZ(北熱帯) 暗斑が見えことがある
  ■濃い模様   NTB(北温帯縞) 見えにくくなることがある

 これらの模様の名称は次の単語の組み合わせです。
  S South 南
  N North 北

  E Equatorial 赤道
  Tr Tropical 熱帯
  T Temperate 温帯

  B Belt 縞
  Z Zone 帯

○特徴的な模様
・GRS(大赤斑)
  赤い大きな楕円形の模様でSTrZ (南熱帯)に位置し、17世紀から見えています。
・WS(白斑)
  円形または楕円形状の明るい模様で、80年も存在する永続白斑もあります。
・フェストーン
  EZ(赤道帯)に見られるSEBs(北赤道縞南組織)から伸びたたなびく煙のような模様です

○模様の移動
・望遠鏡でしばらく(15〜20分くらい)見ていると
 表面の模様は「右」から「左」に移動していくのがわかります。
 これは木星の自転周期が10時間ほどと、とても速いからです。
・木星の自転方向を「前方」、逆方向を「後方」といいます。
・模様の自転方向側の縁は「前端」、逆は「後端」といいます。

○経度の体系
・木星はガスでできているので、表面模様の緯度・経度が変化していきます。
 そのために次のような経度系が定められています。
  赤道帯(EZ) 体系1(自転周期 9時間50分)
  その他    体系2(自転周期 9時間55分)
・ステラナビで木星の「天体情報」を表示すると、
 中央子午線のそれぞれの経度が示されています。
 (表示例)中央経度 220゚(I) 236゚(II)
・ちなみに、GRS(大赤斑)は体系2で表し、現在は340度付近にいます。
 ステラナビでの大赤斑の経度は毎年更新されています。

※「惑星ガイドブック2(誠文堂新光社)」や月惑星研究会メンバーのホームページを参考させていただきました。ありがとうございました。


安部(八束)





   
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