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2014年5月17日(土) ヒッグス粒子講演会聴講



 素粒子物理学の第一線で活躍される方のお話は迫力がありました。
 本を読んでもなかなかピンとこないことが、お話を聴くと何となくわかったような気がするから不思議です。
 あらためて宇宙論や素粒子物理学の本を読んでみたくなりました。
 松江の地でこうした世界最先端のお話が聴けるとは思いませんでした。
 次は7/6(日)に宇宙..ビックパン..のお話があるそうです。今から楽しみです。

安部(八束)



 2012年、世界を驚かせた「ヒッグス粒子」の発見。その第一線で活躍されている研究者から最先端のお話しを聴くことができました。
 かなり難しい内容ですが、直接お話しを聴くとちょっとだけ身近に感じることができました。とても偉い先生方ですが、全然偉そうに振る舞われないのが素敵でした。
 松江星の会からは安部
(+玉湯町から未来の天文学者1名)、小川、金津が聴講しました。

以下、メモです。

「ヒッグス粒子と宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画」

●2014年5月17日(土) 14時〜16時
●島根大学総合理工学部1号館2階21番教室


1.素粒子物理学って何?ヒッグス粒子って何?
  波場直之氏(島根大学)・・・ 理論物理学者

・特に高校生に聴いて欲しくて案内をしたのだけれど、会場に姿がみえなくて残念。(アニメキャラクターが沢山登場する資料とユーモアを交えた解説にその思いが伝わってきました!)
・素粒子はこれ以上分解することできない「究極」のもの。
・これまでに解明されてきた素粒子と素粒子に質量を与えるヒッグス粒子の発見で、万物の成り立ちが解明されたと思ったら間違い。
・今わかっているものを足し合わせても、宇宙を構成するものの5%にも満たない。残りの大半はダークマターやダークエネルギーと呼ばれているものだが、それが何かわかっていない。
・また、宇宙創成時の物質と反物質の構成比は1,000,000,001(10億1)対1,000,000,000(10億)。我々の存在は物資と反物質の合体で消え残った10億1の中のわずか「1」のカスに過ぎない。
・我々を構成している物質は宇宙の極一部に過ぎず、残りの大部分は謎のまま。解明したらノーベル賞間違いなし!

2.LHC(アトラス)実験とヒッグス粒子の発見
  竹下徹氏(信州大学) ・・・ 実験物理学者

・理論物理学者が唱えた理論が本当かどうかを実験で検証するのが実験物理学者の仕事。
・ヒッグス粒子発見の舞台となった欧州原子核研究機構(CERN)で、ヒッグス粒子の検出器の開発に携わってきた。
・研究生活20年の集大成となったATLAS測定器は6階建てビル位の大きさ。ヒッグス粒子を見事に検出できてうれしかった。
・太陽系の惑星は太陽のまわりを、内側が早く外側がゆっくり周っているが、銀河は円盤のように内側も外側も一体となって回転している。これはヒッグス粒子でも説明できない。別の種類(複数)のヒッグス粒子があれば(ダークマターを)説明できるかもしれない。

3.宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画
  高橋徹氏(広島大学) ・・・ 実験物理学者
・宇宙の始まりにどこまで迫れるか。加速器の実験で、より高いエネルギーの現象を捉えて宇宙創成の謎を解明したい。
・そのため、これまでの陽子に代わって電子と陽電子を衝突させる加速器で実験する。これは、全長30kmの巨大な施設(ILC:国際リニアコライダー)で日本に建設する計画を進めている。
・今、効率良く目的とする現象が起きるように、衝突させる沢山の電子の塊を適正なサイズに凝縮する技術開発などに取り組んでいる。
・2028年頃の完成を目指しているが、その頃はちょうど今の学生諸君が中心となって研究を引き継いでくれているのではないかと思う。
・「これは何の役に立つの?」と問われることがあるが、F1カーレースの技術が普通の自動車に応用されているように、素粒子物理学の成果も、科学、医療、インターネットなど幅広い分野に役立っている。

金津(石橋)





   
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