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2012年 未来の記憶



「21エモン」は藤子・F・不二雄(本名・藤本 弘)さんの作品です。昭和43年(1968年)から昭和44年(1969年)の始めにかけて、週間少年サンデーに連載されました。

藤子・F・不二雄さんの作品といえば、「ドラえもん」が最も有名ですが、同じ「右衛門」(えもん)という日本的な名前を持つ主人公では、こちらの方がだいぶ先輩です。

作品で描かれるのは、2023年頃の世界、地球には多くの宇宙人が観光にやってきています。

21エモンは13歳で、今にも潰れそうなホテルの21代目の跡継ぎにして一人息子、オンボロホテルを継ぐか宇宙パイロットになるか悩みながら、宇宙生物モンガー(明らかにドラえもんのモデルです。)やロボット「ゴンスケ」らとホテルや宇宙を舞台にドタバタギャグを演じます。

しかし単なるドタバタギャグと思いきや、以外としっかり科学的根拠に基づいた記述が多く、今読むと作者の先進性と、科学への造詣に驚かされます。

その代表が私の記憶にもあった「イオンエンジン」、作品ではイオン推進型の宇宙船として登場しています。作品が書かれた数年前に、NASAが宇宙空間で噴射実験をしたとの記録がありますが、当時は人類の月着陸直前で宇宙に感心の高い時代でしたから、作者はどこかでイオンエンジンに関する記述を読んだのかも知れません。

ちなみにこの宇宙船、2012年(今年?)製の中古機だそうです。

同じ宇宙船でも、太陽風で航行する宇宙ヨットなども登場して、これはまさにJAXAの「イカロス」ですね。

 ほかにも、宇宙人が滞在する部屋の大気成分や温度調節の話や、人間が搭乗する作業用ロボット(ガンダムの原型?)が登場したり、見かけによらず本当にすごい作品です。

2023年頃という割には科学が進みすぎているという印象ですが、1980年代に第三次世界大戦勃発の危機が迫った時、宇宙人達が介入して危機を回避し、それがきっかけで世界連邦が成立。2000年ころには星間連盟に加入して宇宙人達との交流が始まり、多くの先進技術が提供されたという設定で、まさに地球規模の明治維新です。

とぼけた画風に相反するシュールさがたまりません。



佐藤(西川津)





   
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