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2019年6月6日(木)

ブラックホールの姿を再現!




EHT(Event Horizon Telescope)が公開しているVLBI観測データとブラックホールの陰を可視化するプログラムを使ってEHTが公開したブラックホールの画像を表示させてみました。
残念ながらWindowsベースで動作するものではなくLinuxというOS環境が必要になります。
我々(金津・古都)はUbuntuと呼ばれるLinuxOSを用意してEHTが公開提供しているプログラム群をインストールしていきました。
しかしEHTが提供しているインストール手順はある程度の知識があることを前提としており、とても簡素な説明になっています。
手順どおりに進めていくと、ひとつのプログラムをインストールしようとするとそれに必要な別なプログラムがふたつ、みっつと必要になり終わりが見えてきません。
途中から国立天文台の田崎さん(今回のプロジェクトの研究員)にサポートして頂きなんとか同じ画像を作り上げるところまでたどり着きました。

これは単純にEHTプロジェクトが公開している画像を表示しているのではありません。
EHTプロジェクトと同じ手順、同じデータを用いて画像を作り上げています。
今回の成果を公表するに当たって、その手法とデータも同時公開し、誰がテストしても同じ結果が得られるように丁寧に作り上げたとのことです。(国立天文台 田崎氏談)
こうやって松江星の会で実証することが今回のエビデンスとして立派に役割を果たしていると思います。

今回の検証に使用したサイトと論文
●EHTでM87を観測したデータと画像化プログラムを公開
https://www.miz.nao.ac.jp/eht-j/c/news/announce/20190516-1

●First M87 Event Horizon Telescope Results. IV. Imaging the Central Supermassive Black Hole
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab0e85/meta


古都(米子)



公開されているパイプラインのうち日本チーム主導のSMILIと、アメリカチーム主導のeht-imagingの比較画像です。
観測データは2017年4月5日,6日,10日,11日の4日分が公開されています。
同じデータを異なった2つの手法で画像化していますが大きな違いは見られません。
これにより得られた画像の信頼性は非常に高いと結論付けられます。(天文月報2019年7月より)

下の各画像をクリックすると新しいウィンドウが開きます。画像を並べて見て下さい。


SMILIで再現した画像

eht-imagingで再現した画像


SR1_M87_2017_095_lo_hops_netcal_StokesI
2017/4/5



SR1_M87_2017_095
2017/4/5



SR1_M87_2017_096_lo_hops_netcal_StokesI
2017/4/6



SR1_M87_2017_096
2017/4/6



SR1_M87_2017_100_lo_hops_netcal_StokesI
2017/4/10



SR1_M87_2017_100
2017/4/10



SR1_M87_2017_101_lo_hops_netcal_StokesI
2017/4/11



SR1_M87_2017_101
2017/4/11


古都(米子)



ブラックホール(正確にはブラックホール・シャドウ)の画像表示を自分でやってみたくてチャレンジしました。
不慣れなLinux(Ubuntu)や初体験のPythonなどコンピュータ・ソフトの設定に苦戦しましたが、国立天文台の田崎様や星の会の古都さんに助けていただいて、画像の表示に成功しました(2019.6.8)。画像が目の前に現れたときは、感激しました。数字の山から画像が現れるのは不思議な感じがしました。

証拠写真です。処理パラメータが一緒なので、画像は古都さんと同じです。

金津(石橋)



国立天文台の田崎様より、画像化についてのいくつかのパラメータの値によって、得られる画像が変化すると説明していただきました。パラメータのうちの二つの値を変えてみたのが下の画像です。一番左が今回発表された画像です。
田崎様によれば、今回3種類の画像化方式(smili,eht-imaging,DIFMAP)について5万通りを評価されたとのことです。
下の画像は、日本チーム開発のスパースモデリングsmili で再現した画像です。
 
λ l1 1.0  1×102  1×104  1×105 
λtsv 1×104 1×102   1×102   1×102  

金津(石橋)






   
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