2017年3月4日 講演「謎の素粒子ニュートリノを隠岐の島で捉える」
島根大学ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター講演会
日 時:平成29年3月4日(土)13:00〜14:30
場 所:島根大学教育学部20番教室
講 演:「謎の素粒子ニュートリノを隠岐の島で捉える」
講 師: 阿部 裕悟 氏(島根大学・特任助教)
(概要)
1.素粒子の標準模型
・電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、重力相互作用は「ゲージ理論」で説明できる。
・そして、今わかっている素粒子には、クォーク(アップクォーク、ダウンクォーク等6種)、レプトン(電子ニュートリノ、電子等6種)およびヒッグス粒子がある。
・標準模型では説明できない問題
ニュートリノの質量、暗黒物質、暗黒エネルギー、宇宙インフレーション、クォークやレプトンが何故3世代なのか等々
2.謎の素粒子ニュートリノ
(1)ニュートリノ振動
ニュートリノは、時刻とともに電子ニュートリノ、μ(ミュー)ニュートリノ、τ(タウ)ニュートリノに変身(振動)する。
ニュートリノ振動は、異なる二つのニュートリノの波が重なり合って起きる「(音の)うなり」と同じような現象。
(2)ニュートリノ振動実験
次のような実験方法があり、日本はニュートリノ研究で世界をリードしている。
・太陽ニュートリノ振動実験
→神岡の「スーパーカミオカンデ」で実験
・大気ニュートリノ振動実験
→「スーパーカミオカンデ」実験によるニュートリノ振動観測から、ニュートリノに質量があることを発見したことで、梶田隆章氏がノーベル物理学賞受賞(2015年)
・原子炉ニュートリノ振動実験
→鈴木厚人・東北大教授(当時)の発案で、神岡の「カムランド」で実験
・加速器ニュートリノ振動実験
→T2K(Tokai-to-Kamioka)実験 ・・・いずれは隠岐の島、韓国でも・・・
3.島根大学のニュートリノ研究
茨城県東海村のJ-PARC(※)から岐阜のスーパーカミオカンデに向けて発射されたニュートリノビームを、その経路の延長線上にある隠岐の島(T2KO:J-PARCから約650km)、韓国(T2KK:J-PARCから約1000km)で観測することにより、より詳しいあるいは新たなニュートリノの知見が得られるのではないかと考えている。
(※) J-PARC https://j-parc.jp/
(2017年度講演会予定)
来年2018年2月17日(土) 2015年ノーベル物理学賞受賞 梶田隆章氏の講演
目に見えないニュートリノのお話しは難解でしたが、これが宇宙物理の最先端のひとつと思うと、わからないなりに興味がわきました。来年の梶田隆章さんの講演が楽しみです。
金津(石橋)
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