第30回 Sun-in星の集い 2015 in 大山
   2015年11月7日 大山日光天体観測所


発表抄録

<目次>
①スーパーガイダー「M-GEN」の紹介
②天体撮影ソフト「ステラショット」の実演
③3D天体シミュレーター「Mitaka」の紹介ほか
④「星検(星空宇宙天文検定)」の受検レポート
⑤「ドブソニアン用赤道台(モータードライブ付き)」の製作談


①スーパーガイダー「M-GEN」の紹介

  パソコン不要のオートガイド装置です。ガイド用カメラが高感度であることから、
  注目を集めています。

  1990年頃、小惑星観測をしていた僕はモータ―ドライブのコントロールスイッチ
  のボタンを押しながらガイド星を追いかけていました。その頃に登場したのが
  オートガイド装置であるSBIGのST-4です。星の動きを認識して自動でスイッチの
  ボタンを押してくれる画期的な装置です。ただ、本体だけでも価格が20万円超え
  る高額機器だったので導入には二の足を踏んでいましたが、観測仲間からの「ガ
  イドをしてくれる助手を雇うと思えば安いものだ」という後押しに導入を決意し
  ました。それから四半世紀がたちますか、今でも確実に稼働しています。その後
  のオートガイド装置はパソコンを使うもの、スタンドアローンで動くものなどい
  ろいろな種類の装置が発表されてきましたが、私にはST-4の使いやすさを超える
  ものが見えませんでした。

  そんな中、突然現れたのが、この夏前に発表になった「M-GEN」でした。うたい
  文句では「ガイド鏡焦点距離の20~30倍の直焦点撮影に対応」!。私の望遠鏡の
  焦点は1550mmてすから、セット品の100mmのガイド鏡で可能ということになりま
  す。「ほんまかいな?!」です。というわけで、一気に買ってしまいました。さ
  て、その性能ですが、十分な設定がまだ把握できていなく、さすがに1550mmを安
  定してガイドというわけにはいきません。もう少し使いこみが必要です。いずれ
  近いうちにST-4にとって代わるでしょう。お楽しみに。

  機器の進歩はめざましいですね。私にとって、この四半世紀での大きな改革とい
  えば①オートガイドST-4、②アストロメトリカと冷却CCDカメラ、そして③自動での
  天体導入です。おかげで楽をさせていただいています。

安部(八束)


②天体撮影ソフト「ステラショット」の実演

  天体の導入から撮影までを体験します。望遠鏡とパソコンは無線LANの環境
  としています。オートガイドは、M-GENを利用します。

  (作例)http://www.astroarts.co.jp/photo-gallery/user/3064

  (資料)天体撮影ソフト「ステラショット」の実演[PDF]

古都(米子)


③3D天体シミュレーター「Mitaka」の紹介ほか

  国立天文台が開発した天体シミュレータで、地球を出発して
  138億光年の彼方まで宇宙旅行を楽しめます。
  
  下記ページからダウンロード(フリーソフト)して下さい。
  http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/
  
  出発地点ほか、使い方に合わせていろいろな設定を変更する
  ことができます。
  マウスやキーボードで操作しますが、ゲーム機用ジョイスティック
  も使えます。また、「赤青メガネ」による立体視もできます。


 (話題をもうひとつ)

  巨大デジカメによる全天サーベイ計画
  LSST : Large Synoptic Survey Telescope

  アメリカの大学・研究所・企業によるプロジェクトチームが
  ダークエネルギー分布、未知の太陽系天体、突発天体、銀河系の掃天を
  目的として、チリに建設中の天文台です。
  アマチュア天文家による新天体捜索とも関係がありそうです。
  膨大なデータ処理についてGoogleの技術者も参加しているとか・・・。
  リアルタイムに近い、宇宙のGoogleMapや動画を見ることができるかも
  しれませんね。

  ・主鏡 口径8.4m、焦点距離10.3m (F1.2)
・カメラ 3.2ギガ・ピクセル、視野約10平方度
・撮影方法 露出15秒X6色(赤~青)、一晩に800枚撮影し3夜で全天カバー
・データ量 15テラ・バイト/1夜
・稼働時期 2020年~(10年間掃天)

  (プロジェクトのサイト)http://www.lsst.org/

  ※参考文献
   「宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎」
    スティーヴン・ウェッブ(著) 松浦俊輔(訳) 青土社 2013.9  p.126-

金津(石橋)


④「星検(星空宇宙天文検定)」の受検レポート

  星が好きな人を対象としたいわゆる検定には、「星空宇宙天文検定(通称、星
  検)」と「天文宇宙検定」の2つがあります。両者の名称はとても似ています
  が、まったく関係はありません。いずれもが民間によるもので、特別な資格とい
  うようなものでもありません。

  平成27年8月23日(日)に東京都三鷹市であった第9回星検を受けに行ってきまし
  た。3級は120人程度の受検で男女の割合は6対4くらい、2級は90人程度
  の受検で、こちらも男女の割合は6対4くらいでした。4級受検者の退場の様子を
  見ましたが、圧倒的に女性が多かったです。全体的に女性の受験者が多いのが印
  象的でした。今では宙(ソラ)ガールなんて言葉ができましたが、昔から星好き
  でロマンチックな女性は多いように思います。

  さて、肝心の結果ですが、3級2級のいずれも合格することかできました。合格
  証はなかなか素敵な写真です。合格したからどうこうということはないのです
  が、受検勉強を通じて基礎的な知識や時事問題の理解を深めることができます。
  なお、試験の概要は当該ホームページにいろいろな説明がありますので、そちら
  をご覧ください。

  資格証がもらえる検定ではありませんが、藤井旭さん監修の本「天文検定」も
  楽しいですよ。ぜひ、こちらもどうぞ。

安部(八束)


⑤「ドブソニアン用赤道台(モータードライブ付き)」の製作談

  星を追尾できるように工夫してみました。これにより、観望会では多くの方に
  長く星を見ていただけるようになりました。

  1.他者作成の実例と構造の説明
  2.伊藤作成分の概要
  3.台本体作成おける、苦心とアイデアの説明
  4.コントローラーの作成と苦心したところ
  5.極軸儀の作成と使用方法

  (資料)ドブソニアン用赤道台の製作[PDF]

  (参考)
  1.遊星子ギヤはタミヤ模型から発売されていて簡単に手に入ります。
  2.自動車ジャッキはベアリングの入った質の良いものを使ってください。
  3.極軸儀の部材にドイツ製の自在部品をを使いましたが、現在手に入りません。
   アルミのアングル等で工夫してみてください。

伊藤(内中原)


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